この記事は 初心者さん 中級者さん 向け
フランスにおいてボルドーに次ぐ2番目の生産量を誇る産地。
ワインづくりの歴史も古く、紀元前からブドウ栽培がおこなわれていた記録があります。
赤ワインが80%を占め、白ワインはわずか7%。残りの13%はなんとロゼワインが生産されています。
有名どころだと、シャトーヌフ・デュ・パプやコンドリューあたりでしょうか。
とっても広い産地のため、北ローヌ、南ローヌと分けて説明されることが多いですね。順番にみていきましょう!
ローヌ地方の概要
ブルゴーニュ地方の南側、リヨンという大都市の南側から南北250kmにわたる大きな産地がローヌ渓谷地方です。
直線距離ですが、東京⇔名古屋間がだいたい250㎞ですかね…(北方面だと東京⇔福島市あたり)高速道路使って3時間…というところでしょうか。かなり広大だということは分かりますね。
ローヌ地方はどんなところですか?
スイス方面から湖を経由して地中海に流れ出る大きなローヌ川沿いにワイン畑が広がっています。
この大きなローヌ川が北から南にまっすぐ流れており、その支流沿いに南ローヌではさらに畑が南ローヌにある大きな都市アヴィニョンは、世界遺産にも登録されており、水辺に並ぶ古城がなんとも素敵です。
北ローヌと南ローヌの違い
広大なローヌ渓谷地方は、生産地が北部と南部に分かれ、ローヌ川に沿ってブドウ畑が広がっています。
ざっくり北ローヌとは?
北部は川沿いの陽当りのよい急斜面でブドウ栽培が行われ、シラーやヴィオニエが主要栽培品種。
濃厚ですがタンニンがなめらかで、美しい酸と引き締まった果実味のエレガントなスタイルが特徴です。
ざっくり南ローヌとは?
一方、海に近い南部は、温暖な地中海性気候の影響で、グルナッシュをメインに様々なブドウ品種を栽培。
ワインも多くの品種をブレンドして造られ、豊かな果実味を備えた、ふくよかで芳醇なスタイルのワインが生まれます。
ローヌ地方としての共通点はある?
北部と南部、それぞれ特性は異なりますが、共通しているのが、ローヌ渓谷から地中海へ吹き抜ける「ミストラル」という北風。
ミストラルは冷涼で非常に乾燥している風で、雨の後に畑を乾燥させ、ブドウの病気を抑える役割もはたしています。そのため、ローヌ地方は減農薬でブドウを育てることができ、近年オーガニックワインも増えてきています。
北部ローヌについて
タイプ:赤
品種:シラー80%以上、20%までヴィオニエ混醸可能。
「焼けた丘」の名の通り、急斜面で激しい日光の照射を浴び続け、力強いシラーがうまれる。
知名度は高いが、実はシャトー・ヌフ・デュ・パプの1/10程の栽培面積。
ギガルや、ルネ・ロスタンが有名。
コート・ロティ・ラ・ランドンヌや、ラ・テュルクなど、ギガルの単一畑ものは5万円くらい。
タイプ:白
品種:ヴィオニエ100%
ヴィオニエの特徴である洋梨やトロピカルフルーツの香りに、コンドリューの特徴であるジャスミンの風味が加わる華やかなスタイル。
スタンダードキュヴェとは一線を画すという、ラ・ドリアーヌ。
ほかにドメーヌ・イヴ・キュイロンや、ドメーヌ・ガングロフも素晴らしいコンドリューを作り出している。
タイプ:白
品種:ヴィオニエ100%
コンドリューに隣接し、硬質的な果実味が特徴で、ふくよかなコンドリューとは対照的。見つけたら超レア。
シャトー・グリエはモンラッシェ、シャトー・デイケム、シャトー・シャロン、サヴィニエール・クーレ・ド・セランと並ぶフランス5大白ワインの1つ。生産者ヴィニョーブル・ド・シャトー・グリエが単独所有する畑。
1827年から2011年まではネイレ・ガシェ一族が所有していたが、その後はボルドーのシャトー・ラトゥールを有するピノー家が所有している。
タイプ:赤・白・甘口
品種 赤:シラー100%、15%まで白品種混醸可能
白:ルーサンヌ、マルサンヌ
シラーの2大産地、コート・ロティと双璧をなす産地。コート・ロティからローヌ川を50kmほど下った対岸に位置する。
エルミタージュ・ルージュは、果実のコク、シラー特有のスパイス香、力強いタンニンが特徴で、おそらくローヌ地方で最もフルボディ。
長期熟成が可能で、10年から20年寝かせるとベストといわれている。
有名な生産者は、シャプティエや、ジャン・ルイ・シャーヴなど。
生産量は少ないが、エルミタージュ・ブランも、豊かな果実味と適度な酸味がバランス良く、必見。
タイプ:赤・白
品種 赤、白:エルミタージュと同じ。
エルミタージュの丘を取り囲むように広がる1,500haの大きなエリアで、北ローヌ最大の生産地。畑は平地が多く、エルミタージュをグラン・クリュとすれば、クローズ・エルミタージュはさしずめヴィラージュといったところ。
若飲みタイプのシラーで、比較的口当たりも柔らかく、価格もお手軽に飲めるものが多い。
サン・ジョセフ Saint Joseph
タイプ:赤、白 (90%が赤を生産)
品種:シラー(赤)、マルサンヌ(白)など
ほぼシラー100%で生産されている。上級シラーの産地。コート・ロティよりエルミタージュに近いが、若いうちから楽しめるスタイル。
クローズエルミタージュより、高価なものが多い。国外に出回らず日本ではネゴシアンものが多い。
ネゴシアンとは?
タイプ:赤
品種:シラー
南向きの急斜面にあり、厳しい太陽光を浴びる。そのためコルナスもケルト語で”焼けた大地”を意味する。
多くがシラ−100%の野性味溢れる力強く長命なワインを産出。北ローヌのシラーの中でもっともワイルドで荒々しい味わいともいわれている。
タイプ:白(泡もあり)
品種:ルーサンヌ、マルサンヌ
北ローヌ最南端で、平野の冷涼な地域。小さな谷に隠れるようにブドウ畑が広がり、良質な白ワインと発泡ワインを生産。
南部ローヌについて
北ローヌと違い、グルナッシュ主体のブレンドスタイルでしたね。個人的に南ローヌのAOCの名前は、ポケモンに出てきそうだな…と思ってます。
タイプ:赤、白、甘口
赤:グルナッシュ主体、シラー、ムールヴェードルなど
白:グルナッシュ・ブランなど
VDNという甘口ワインも
南部ローヌの比較的小さいエリア。VDN(ヴァン・ドゥ・ナチュレル)は昔から作られていたが、赤ワインのAOCが認められたのは2010年と最近のこと。
タイプ:赤、ロゼ
品種:グルナッシュ80%以上、シラー、ムールヴェードル (わずかにロゼもあるらしい)
ラテン語の「歓喜」が語源。標高140~400mの斜面にブドウ畑が広がり、比較的冷涼な気候。
グルナッシュ主体の濃厚で果実の甘みが感じられる赤ワインを多く産出。力強い味わいが特徴。
最近では単一区画ごとに手がける生産者も増えてきているよう。
生産者によっては10年近く熟成に耐えうるものもある。
ラテン語の「石の谷」が語源
タイプ:赤、白、ロゼ
品種:赤は、ジゴンダスと同じくグルナッシュ主体
(わずかながら白とロゼもつくっている)
ジゴンダスの南に位置する。山のふもとの平地にブドウ畑が広がっているため、暑く乾燥していて、日照量も多い。
凝縮した甘みをもつ赤ワインがつくられる。あまり有名ではないが、南部ローヌの中で2番目に大きなAOCでもある。
シャトーヌフ・デュ・パプ Chateauneuf du pape
タイプ:赤、白
品種:赤 グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルなどを含む13品種が使用可能
白 グルナッシュブラン、ルーサンヌ、クレレット、ブールブーランなど
南部ローヌ最大のAOC。大きなエリアのため、石灰砂質土壌や、粘土土壌、玉石の転がる土壌…とテロワールもさまざま。
100以上の生産者がいるといわれており、口当たりなめらかなタイプから、力強い長期熟成タイプまでバラエティ豊か。
シャトー・ヌフ・デュ・パプ3傑と言われているのが、シャトー・ラヤス、アンリ・ボノー、シャトー・ド・ボーカステルである。ヌフパプは奥が深く、ひとことでは語り切れないので、別途ご紹介をしたい。
タイプ:ロゼ
品種:グルナッシュ主体
フランス3大ロゼワインの産地で、力強いロゼがつくられる。(残りの2つはプロヴァンスのロゼと、ロワールのロゼ・ダンジュ)ローヌ地方で唯一ロゼワインを産出するAOCということで、ソムリエ試験にも出やすい。
いかがでしたでしょうか?ローヌワイン超まとめ。赤も白も果実味豊かでボリューム感のあるなので、幅広いお料理に合わせやすいのもローヌワインの魅力のひとつですよね♬
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